遊☆戯☆王デュエルモンスターズ レビュー 「販促アニメのお手本」

 ※ネタバレ注意

 

光と闇、2つの人格を持つ少年武藤遊戯が、数々の強敵とカードバトルで死闘を繰り広げる。強烈な敵キャラの面々、手に汗握るデュエル、想像の上を行く頭脳戦、心の闇の丁寧な描写、神BGMなど、今思い出しても異常にクオリティが高かった。また、販促アニメとしても異例のクオリティを誇った。

 

目次

 

放映時期

 

2000年春〜2004年秋(18クール)

 

見始めたきっかけ

 

魔法陣グルグル、最遊記、あともう一つあったような気がする、の流れで見始めた。

 

推しキャラ

 

ペガサス・J・クロフォード。ダイナソー竜崎、インセクター羽蛾、孔雀舞、バンデット・キース、海馬瀬人、他にも強烈な敵キャラは数多存在するが、中でもペガサスは際立って強烈だった。海馬瀬人をも超えるナルシストっぷりや、トゥーンデッキに代表される彼独特の世界観、ルー大柴の先駆けと言われている?ペガサス語など、敵ながら非常に魅力的であり、密かに憧れのキャラであった。演じている声優の名前も含め、いろんな意味で思い出に残るキャラだった。ちなみに、高杉'Jay'二郎(たかすぎ ジェイ じろう)が担当声優である。

 

レビュー&採点

 

・作画(キャラデザインも含む) 15点

・音楽(BGM、op、ed、挿入歌、se) 25点

・ストーリー(話数の配分等の構成、話の面白さ、脚本、展開) 30点

・人物(登場人物にどれくらい魅力があるか) 20点

・独自性(世界観や提示される概念など、何らかのオリジナリティがあるか) 30点

・メッセージ性(制作陣は作品を通して何を伝えたかったのか) 20点

 

作画

 

10点/15点

 

キャラデザインは、写実的でありながら漫画的デフォルメも施されており、今見ても惚れ惚れするほどである。モンスターデザインも凝っており、凄みすら感じられる。一方、背景はいわゆるベタ塗りが主体で、凡庸な印象。

 

音楽

 

25点/25点

 

 

BGMがとてつもなく優れていた。(音楽は光宗信吉が担当。)ここから反撃という場面で流れる「ロッテリア」を聞くたび、当時中学生だった俺は異常なくらい興奮した。バトルシーンのBGMはもちろん、心理描写の際に流れる神秘的で太古の歴史を感じさせる曲も至高である。オープニング曲も神曲ぞろいで、ビデオが擦り切れるくらい聞いた記憶がある。効果音や各種SEに至るまで、音楽のレベルは歴代でもトップクラスと言っていい。

 

ストーリー

 

24点/30点

 

 

序盤の、デュエリストキングダムあたりまでは毎週続きが気になって首が長くなるほど面白かった。 遊戯や城之内がなんだかんだで勝つ展開が多かったと思うが、思いもよらぬ展開や意外な伏線、頭脳的な勝ち方には毎回圧倒された。序盤のワクワク感が消え去り、後味の悪い展開が続いた後半から、徐々に俺の熱は冷めていった。

 

人物

 

16点/20点

 

強烈な個性を放つ敵キャラが多く、その記憶は未だに鮮明である。遊戯や海馬瀬人など心の闇が詳細に描かれたキャラも数多く、俺が心理描写の深いアニメを愛するようになったきっかけのように思える。闇に魅入られながらも良心を取り戻したり、改心するキャラも多く、人間の強さ弱さを感じさせた。良いキャラは多いが、感情移入してしまうほどのキャラはいなかったように感じた。

 

独自性

 

27点/30点

  

少年向けアニメの定番である戦闘は勿論、心理描写も極めて深く濃厚である。同様の特色を持った作品は旧ハンターハンターなどがあるが、数は少ないと思われる。青眼の白龍の「滅びのバーストストリーム」など、記憶に残る上にかっこいい必殺技が多い点は、テニスの王子様を思わせる。しかしながら、アニメを広告塔として用い、ゲームやカードといった関連商品で儲けるビジネスモデルを提示した点において、極めて革新的な作品ではあったと思う。

 

メッセージ性

 

16点/20点

 

一貫して、信じることや友情の大切さといったオーソドックスなメッセージが発せられていたと思う。

 

総評

 

84点。今思い出してみると、何気に相当クオリティが高いアニメだった。濃密で深い心理描写や、頭脳戦と心理戦を高いレベルで兼ね備えたバトル、思わず共感してしまう敵キャラ、優れたBGM、俺が好きなアニメの要素をあらかた兼ね備えている。旧ハンターハンターと並び、アニメに対する俺の嗜好を決定付けた作品の一つだと思う。

 

遊戯王カードって何であんなに売れたの?

 

その理由を解説する。

 

青眼の白龍の「滅びのバーストストリーム」を始め、カッコいい必殺技を持つモンスターカードの数々は、全国の中二病の少年たちを魅了した。俺もああいうカード欲しい、と。光宗信吉作曲のカッコいいBGMや、劇的な展開、キャラの魅力も含めて、モンスターカードや魔法カードを宣伝する最高のCMになっていた。

 

少年たちはカードに対する潜在的な購買意欲を持ったまま、本編から自然な流れで入ってくるカードのCMを見る。CMで、本編で登場したカードを改めてカッコよく紹介し、更に購買意欲を煽る。決め手は、5枚150円(300円)というお手頃な価格設定だ。お小遣いの少ない小中学生でも、十分手が出せる金額である。飛ぶように売れるのも理解できる。何なら、友達とデュエルしない俺でも300円くらいなら払ってもいい、と思ったくらいだ。

 

真骨頂は、90枚3000円とかのブースターパックである。バラで買うよりお得なのは、小学生でもわかる。おまけに、ウルトラレアやスーパーレアカードが必ず何枚か付いてくる。そう言ったカードは、単体で買おうとすると下手したら数万円もする。3000円でレアカードが手に入るなら、何パックでも買うのが賢い?少年たちである。金額も、小遣いを貯めたり、お年玉を使えば手が届く。

 

かくして、遊戯王カードは空前の売り上げを達成したのだった。

 

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