闘牌伝説アカギ レビュー 「アカギという絶対的カリスマ」

※ネタバレ注意

 

麻雀アニメの最高傑作。

 

目次

 

放映時期

 

2005年秋(2クール)

 

見始めたきっかけ

 

放映当時、鷲巣麻雀途中で視聴を断念した。天鳳で特上卓行けるくらいになったし、もう一回見たらもっと楽しめると思った。

 

推しキャラ

 

赤木しげる。本作の面白さは、アカギに尽きる。あまりにも無謀な言動や闘牌が目立つが、アカギの才能や能力を考えると実に理にかなっている。無意味に人が死ぬのがギャンブルの良いところと言ってのけ、生死を賭けたギャンブルを唯一の楽しみとし死への恐れが全くない狂人である一方、誰よりも冷静である。サムライチャンプルーのムゲンと似ているが、いざ自分が死ぬような状況になっても冷静でいられる点が明らかに違う。死を恐れず、むしろ死にたがりのようでさえある。だからこそ、誰よりも濃密な生を生きられるのだろう。現代人が見習うべきアカギだが、見習う箇所を間違えると破滅に至る危険な教材でもある。故に、極めて魅力的なのだ。

 

「鷲巣さん、それではあなたが破滅しない。」というセリフから、アカギの公平さが伺えるのも実に好印象だ。

 

レビュー&採点

 

・作画(キャラデザインも含む) 15点

・音楽(BGM、op、ed、挿入歌、se) 25点

・ストーリー(話数の配分等の構成、話の面白さ、脚本、展開) 30点

・人物(登場人物にどれくらい魅力があるか) 20点

・独自性(世界観や提示される概念など、何らかのオリジナリティがあるか) 30点

・メッセージ性(制作陣は作品を通して何を伝えたかったのか) 20点

 

作画

 

12点/15点

 

アカギのキャラデザインがめちゃくちゃ格好いい。アカギのクールを超えたクールさを、直線主体の無骨なキャラデザインで表現している。東京オリンピック前後の古臭い街並みを、現代の作画技術で美しく蘇らせている。

 

音楽

 

25点/25点

 

日本テレビのアニメで、タニウチヒデキは大活躍している。カイジやデスノートでも音楽を担当しているが、俺はアカギこそ彼の真骨頂だと思ってる。どの曲も良い。特筆すべきは、作中のここぞという場面で流れる「神技」なる曲である。いかにも中国を感じさせるメロディだが、アンビエントやテクノの要素も感じさせる。作曲者の知性が伺える。オープニング曲も名曲。

 

ストーリー

 

28点/30点

  

前半の、竜崎矢木市川浦部戦までは最高に面白かった。後半の鷲巣麻雀も最高に面白いのだが、最後3話の引き伸ばしがマイナスポイント。麻雀やってない回でも、スリルや緊迫感、興奮を感じさせるゆえ面白い。

 

なんだかんだアカギが勝つのだが、視聴者の予想を裏切る展開が続くので目が離せない。アカギが常人には理解不能な闘牌をしたら、非常に丁寧な説明がなされるのでモヤモヤ感は皆無である。しかもストーリーの邪魔にならぬよう配慮されている。だからこそ、本作品のテンポは非常に良いのだろう。

 

人物

 

20点/20点

 

アカギのカリスマは常軌を逸しており、とてつもなく魅力的である。安岡は悪徳刑事ではあるものの、若者の身を案じ時として思い切った行動もできる熱い男だ。敵キャラも個性的な面々が揃い、視聴者を飽きさせない。

 

独自性

 

29点/30点

  

戦後の昭和を舞台にした麻雀物は、勝負師哲也など他にもある。ただ、死を恐れず時に死にたがりにさえ見えるアカギの存在が、本作品を唯一無二の領域に押し上げたのは確かである。牌の大半が透けて見える鷲巣麻雀は、従来の定番だった「牌が透けて見える」という現象を否定し、麻雀を完全情報ゲームに近づけた点で画期的である。

 

メッセージ性

 

20点/20点

 

確率を重視するデジタル麻雀を否定し、流れやツキを重視するアナログ麻雀を肯定する原作者の思想は十分すぎるほど伝わってくる。「思い切って危険に飛び込んだ方が安全。」「命がけのハッタリでピンチを脱せよ。」「〜しても安全という考えは、判断や読みを甘くさせ結果破滅に至る。」などなど、人生の教訓になりそうなメッセージも豊富である。

 

総評

 

96点。イカサマが必要不可欠となっている点や、終盤の引き伸ばしはモヤモヤしたがそれ以外は文句なし。13話のアカギの緻密な解説は、凄すぎて震えが止まらなかった。

 

本作品の頭脳プレーまとめ。

 

1話

 

・警察に皆の注意がいっている間に、アカギは他家の河から牌を拾いまくり役満手を仕上げた。

 

・イカサマ発覚の際は警察を立会人にしていたため難を逃れた。

 

2話

 

・矢木の脅しにも動じず「そちらも同じ条件で」とアカギは返した。心理的プレッシャーなど効かぬと伝えられ、自らの精神的動揺も防げる。

 

・矢木はアカギの読みを惑わせるため、わざと当たり牌を切った。後々、弱気な選択を引き出すためだ。

 

3話

 

・アカギは矢木の手牌が予想通りだったか確かめるため、わざと上がらず流局に持ち込み、矢木の手牌を露出させた。自分の読みが正しいか確認しておけば、いざという時自分の読みを信じて正しい牌が切れるのだ。

 

・アカギはマンズをさらしまくり、矢木以外の捨て牌を絞った。相手を矢木だけにする。4万のカンの中にドラ牌を仕込みわざとマンズを見せて、ドラを矢木に出させた。

 

・アカギは流れに乗っていると見たため、次の対局も受けさせた。向こうは男のメンツを売りにして商売をしている。だからこそ、降りられないという弱みがあるからだ。

  

4話

 

・銃の回転数を利用して、アカギはロシアンルーレットを市川に仕掛けた。

 

・不良に呼び出され角材で殴られたアカギは、「足りない。いくら未成年でも3人殺したらただじゃすまない。正当防衛を主張できるくらいの傷は負いたいもんさ」と挑発、殴りかかってきたところを発砲した。殴りかかってきた時、人は隙が生まれる。隙を作るため、アカギはうまく相手を挑発した。

 

5話

 

・アカギは手持ちの白中がどちらも危険と察し、中を強打した隙に河の1列目の西を2列目に弾き落とし、西を切ったことにした。

 

・市川から点棒をとるため、絶一門を挑んだアカギ。切りまくったピンズ、3枚切れの2ピンを切って、ピンズを諦めたと見せかけて1ピンを市川から引き出した。

 

・変則待ちで市川を直撃するが、市川は絶一門で溢れたアカギの牌を待っていた。役絡みなので、点数も高い。結局、いい待ちで待っていれば溢れた牌が勝手にロン牌になるのだ。

 

6話

 

・アカギは、市川の待ちを147万と看破。手牌にそれらだけある状況で、テンパイ崩しの4万切り。7万だとドラが乗って、飛んでいたからだ。

 

・アカギはくそ配牌を、2色の中張牌を切り続け一色手と思わせる。続けて、3色目のドラそばを切り国士と思わせた。字牌切りで国士テンパイのブラフは完成。命がけでブラフをかませば、なんとかなるのだ。

  

・アカギは鳴きの食い変えを指摘させ、上家の河に戻す際そばの牌を西にすり替えた。4枚目と市川に思わせ、西を切らせロン。イカサマをやられてはかなわんと、アカギの「お互いの点棒を十分の1にする」提案を受け入れさせられてしまった市川。してやったりアカギ。

 

7話

 

・アカギは鳴き3色を仕掛ける。市川がすり替え後のリンシャンドラを先に3枚の中から切り出し雀頭にし、リンシャンドラが手牌にないと思わせた。そして、アカギの思惑通り市川にリンシャンドラをすり替えさせる。保険をかけたつもりが、市川はアカギの術中にはまってしまった。

 

 

9話

 

・アカギは、得意の河の牌すり替えをし、それを王牌と取り替え、溢れた牌を河に戻した。ドラ表示牌に皆が集中しているから、無関係の牌が変わっていても気づかれない。1話同様、心理の裏をついた。不要牌を外に寄せる川島の癖も観察力で看破し、川島たちの預金を根こそぎ奪った。

 

10話

 

・アカギは、金を取り返しにきた川島たちに金の入ったバッグを投げた。それを川島が取るすきに、川島の顔面にヒザ蹴り。さすが、心理のスキを捉えるのがうまい。

 

・ニセアカギは、思い切りよく両面に構えられず、弱腰で手牌をバラバラにした。実は浦部は、リーチしていたがノーテンリーチだった。ハッタリもまた、実力のうち。

 

11話

 

・アカギは、自分の手牌つまり思考を知られるのを嫌がり、リーチしながらノーテン罰符8000点を支払う。

 

・アカギは四暗刻の待ち牌4万が他家から出ぬと悟り、脅しのオープンリーチ。浦部から日和った差し込みを狙ったかと思いきや、テンパイを崩させツモに賭ける狙い。強運があるからこその戦略。

 

12話

 

・カンドラ牌の北を倒してしまったアカギ。北の地獄待ちまでする。誰かがカンすればいい。現物だけ打って降りていた浦部は、安全のため連続でカンし安パイを引こうとした。引いたのは北。見えてしまっていた北しかも地獄待ちで待っているはずがない、とタカをくくり放銃。

 

トイツ場と見た上で、見えてしまった北しかも地獄待ちはないから打ってくると見込んだアカギの勝ち。

 

13話

 

・アカギの待ち牌は2ピン。アカギはその理由を、浦部という人間の本質、思考の源流がピラミッドの底辺となり、後はその上に思考を基にした戦略があり、最後に2ピン。と説明した。

 

浦部の闘牌は、攻めでもなく守りでなく、保留の麻雀。相手のリーチはとりあえず、雀頭くずし。浦部がテンパイしていたのは分かった。そこで浦部が保留し、雀頭を切る癖が出て2pを捨てた。

 

リーチ時の手牌隠しや四暗刻オープンリーチの印象から、浦部は今までにない不気味さを感じ、日和った。だから最後の手牌全てが危険牌に見え、原点である雀頭切りの2p。無軌道に捨てられた1p3p4pも後押しした。

 

14話

 

仰木は「私は組の若頭です。私に喧嘩を売るということは、組に喧嘩を売るということです。安岡と私は一心同体、安岡に手を出したらうちの組に喧嘩を売ったとみなします。」と述べ、安岡と自らの組をダシにアカギを救出した。機転が利いている。

 

17話

 

・鷲巣は、仲間とのコンビ打ちにてリーチ一発をやった。高い早い安全の3拍子が揃っているからだ。

 

逆に言うと、仲間のスケルトン牌にロン牌がなければリーチできない。それを逆手にとってアカギは仲間のスケルトン牌と同じ危険牌を通したのだ。察知するのもすごいが、直感に沿って行動できたのはもっとすごい。

 

・鷲巣が三色狙いで、不要牌の5万を切ってリーチ一発と読んだアカギは5万単騎待ち。コンビ打ちリーチ一発のわずかな隙を狙い打った。

 

18話

 

・アカギは、あえて安岡の差し込みを蹴った。58ピンの待ちはないと思わせ、鷲巣に25ソウの待ちと思わせた。ガラス牌の性質を利用し、鷲巣のテンパイを崩した。その直後、アカギはツモる。これで、差し馬の直撃で逆転できた。

 

・アカギは、待っていた。手牌にマンズがあふれるのを。鷲巣が四六万の片方を落とした途端、3フーロ。667万が鷲巣に見えており、6万を切れなくした。またしても渾身のフェイント。

 

19話

 

・鷲巣は、万が一を考慮し6万は切らず。69万待ちと8万待ちは、残り牌が少ないからわざわざ上がらせてやる必要はないと考えたのだ。

 

アカギは染め手と思わせて、あえて3ピンを引き入れる。1ピンがアカギの河にあるから、待ちは25ピンか、4ピンと絞り、鷲巣は6ピン切り。部下に5ピンを打たせ、次順5ピンを落とす手順。しかし、アカギは部下の捨て牌を見逃し、鷲巣から直撃を奪った。とりあえずの安全を買わないアカギに、鷲巣は焦る。

  

20話

 

・アカギが血液補給の機会を断った理由を、仰木が解説した。「鷲巣麻雀自体が異常、異常な環境下では異常こそ正常。そもそも鷲巣麻雀はどう打とうが命の危険と隣り合わせ。究極の精神状態で、極限の集中力を保たねばならない。もし血液の補給をすれば、満貫直撃でも大丈夫、ひいては振り込んでも大丈夫となり、集中力が切れ読みが甘くなる。血液の補給という考えすらないのだ、この状況では集中力を保ち続けるのが重要とわかっているから。濃い薄いではなく、ゼロか百かの読み。そこまで正確に読む必要があるんだ。」

 

21話

 

・鈴木は西を切らず。アカギは西を切り、カン二万と受ける。もはや直感である。手変わりの機会を得て、アカギは11233456mから1mを切り36m受けを選択、リーチ。安岡のロン牌引きにかけた。しかし不発。鈴木の西をポンし1mを切った鷲巣。鈴木は3mで差し込むつもりが、頭ハネでアカギがロン。アカギの読みが説明不能なほどすごい。

 

22話

 

・ドラ西を鷲巣が2枚持っている根拠に、鷲巣の持つ強運や勝負強さ、鷲巣を勝たせようとする天の意思を挙げたアカギ。アカギの配牌は悪く、鷲巣のミスが必要だった。わざと血液の補給をせず、鷲巣に関知できぬわずかな恐怖を与えておいたのが功を奏した。恐怖は焦りとなり、鷲巣はテンパイを取った。

 

一巡前に鈴木の西切りに、あえて北を切って西単騎待ちを警戒していると鷲巣に思わせた。それもあり、鷲巣はテンパイを取ったのだ。鈴木の捨て牌から、12万か13万を鷲巣が持っていると読み、アカギは2万黒牌を持っているから鷲巣の待ちは2万と確定。リーチをかけ、満貫で殺せると思わせ、鷲巣に西を鳴かせた。安パイの1万を切った鷲巣は、鈴木の3万差し込みで上がるつもりだった。しかし、それはアカギの待ち牌。頭ハネでアカギの勝利。

 

25話

 

・鷲巣は、アカギに気圧されたのか、掴んでいた当たり牌の1ピンを逃してしまった。ギリギリまで鷲巣は1ピンを引っ張るが、安岡が1ピンを引いてしまう。後はアカギと安岡で鳴き合い、最後はアカギが1ピンを安岡に差し込んで決着。頭ハネルールが効いている。

 

鷲巣は、アカギを殺したいあまり、直撃かツモにこだわってしまった。「裏を返せば、死にたくないから殺しに行く。」とアカギに言われうろたえる。今までなら1ピンを引き逃したらもう無理だと鈴木に差し込ませていたはずが、死への恐怖がモロに出てしまった格好。わざと血液の補給をしなかったため、鷲巣のアカギへの恐怖心が煽られたからだ。

 

・自局、鷲巣は日和って西を切るが、それがアカギの待ち牌。死への恐怖から安全パイを鷲巣が切るのをアカギは見切っていた。ここでも、血液の補給をしなかったのが功を奏した。