BLOOD+ レビュー 「翼手を巡る壮大な歴史物語」

 ※ネタバレ注意

 

翼手をめぐる壮大な歴史物語。家族とは何か、を問い続けた作品でもある。

 目次

 

レビュー&採点

 

・作画(キャラデザインも含む) 15点

・音楽(BGM、op、ed、挿入歌、se) 25点

・ストーリー(話数の配分等の構成、話の面白さ、脚本、展開) 30点

・人物(登場人物にどれくらい魅力があるか) 20点

・独自性(世界観や提示される概念など、何らかのオリジナリティがあるか) 30点

・メッセージ性(制作陣は作品を通して何を伝えたかったのか) 20点

 

作画

15点/15点

とにかく、絵は最初から最後まで綺麗である。特に、ベトナムやニューヨークの街並みが非常にリアルに描かれていた。出色なのは終盤戦で赤い盾が根城にしている建物で、夥しい数の線が描き込まれ、色合いもリアルな経年劣化を表現している。

音楽

24点/25点

劇中に使われているBGMは名曲ぞろい。特に、クラシック調の重厚な音楽は本作品のシリアスさを増幅させる効果を果たしている。OP、EDはそれぞれ4曲あるが、どれも良い曲。特に、OP2のSEASON'S CALLは何度も聞きなおすほどの名曲。

ストーリー

20点/30点

全部で4クールと非常に長く、無駄な回も多々あった。メインテーマと思われる「家族」「絆」を丁寧に描くあまり、日常や会話のシーンに尺を取りすぎて全体のテンポが悪くなっていた。戦闘シーンも、順当に強い者や数の多い側が勝つことが多く、意外性や面白さを感じさせなかった。ジョエル爺さんの道楽やサヤの何気ない善意から全てが始まったのは、茶番でありながら、どこか本物の歴史らしさを感じさせる。何はともあれ、翼手を巡る数々の争いを史実と交えて描く重厚な物語に面白さは不要とも言える。様々な立場の人物の心情やその変化、人物の立ち位置、過去現在の様々な出来事を娯楽性無視で淡々と描いた点は、歴史を語る上で適切な態度だったと思う。

人物

15点/20点

取り立てて共感できる人物は居なかったが、敵側の陣営には面白い人物が揃っていたと思う。特に、ネイサンやアルジャーノンの独特な存在感は堪らなかった。

独自性

25点/30点

雰囲気はよくあるシリアスなアニメである。様々なアニメを彷彿とさせる点は、本作品が埋もれがちな原因の一つか。本作品は、史実や現実を交えながら独自の歴史や世界観を構築した点で他アニメと一線を画すと思われる。また、伝えたいメッセージがこれほど明確かつブレていなかったアニメも珍しい。

メッセージ性

20点/20点

「家族」「絆」「善意がもたらす災厄」「異種族間の相互理解」「愛情」「身体の延長としての道具」「記憶の継承」など、この作品のテーマやメッセージは多岐にわたる。物語自体は面白さに欠けるとはいえ、伝えたいメッセージやテーマは全編にわたって貫かれていたと思う。

総評

85点

それほど面白くはなかったが、重厚な歴史物語を見終わったという達成感は残った。見終わってから隠されたメッセージを考察したり、他ブログで他者の意見や感想を読むのが楽しい作品の一つである。

 

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