へっぽこ実験アニメーション「エクセル・サーガ」 レビュー 「声優ナベシンの真骨頂」

 ※ネタバレ注意

 

他作品をパロディしたアニメは数あれど、監督が本職の声優と遜色ない演技を見せてくれたアニメはこの作品くらいでしょう(笑)。 

 目次

 

レビュー&採点

 

・作画(キャラデザインも含む) 15点

・音楽(BGM、op、ed、挿入歌、se) 25点

・ストーリー(話数の配分等の構成、話の面白さ、脚本、展開) 30点

・人物(登場人物にどれくらい魅力があるか) 20点

・独自性(世界観や提示される概念など、何らかのオリジナリティがあるか) 30点

・メッセージ性(制作陣は作品を通して何を伝えたかったのか) 20点

 

作画

9点/15点

 2000年前後のアニメとしては、標準的な出来だったと思う。表情豊かなキャラデザインは魅力的。

 

音楽

19点/25点

音楽は「だぁだぁだぁ」や「蟲師」でお馴染みの増田俊郎が担当している。哀愁と独特のかっこよさが漂う「ペドロのテーマ」(多分こんな曲名だろう) が印象に残る。センセーショナルなオープニング曲も良かった。

ストーリー

21点/30点

25話も1話完結の話が続くがゆえに、回ごとの脚本のクオリティにはかなり差があった。3、6、11、16話はメチャクチャな展開の連続ではあったが非常に面白く、日本のアニメ史上でも最高レベルの質を誇っていた。この4話は、考え抜いた末の脚本という印象がある。最終話付近で、いきなりイルパラッツオが豹変するなどシリアス展開になったが、最後までおバカ路線で突っ走っていた方が面白くなったように思える。

 

人物

16点/20点

どのキャラも本能の赴くままに行動している印象があり(特に、蒲腐や四王寺博士、あと岩田w)見ていて非常に爽快だった。俺の人生に参考になるキャラはいなかったが、魅力的なキャラは多かった。

 

独自性

30点/30点

監督がちょい役で声優やってるアニメは結構ある。しかし、監督が準主役くらい出演してる上に演技もなかなか上手いアニメはこの作品くらいだろう。ご都合主義な展開は通常では視聴者にうんざりされるが、このアニメのご都合主義はギャグとして成立している。ギャグだけでなく、ご都合主義な展開でここまで笑わせてくれるアニメは珍しい。実写の多用、話の最後がテレビ番組として終わる点は後年の「ぱにぽに」にも取り入れられたと思われる。そういう意味では、先駆的な作品でもあった。

 

 

メッセージ性

16点/20点

メタ、ご都合主義、パロディ、様々なギャグが登場する娯楽作品である。しかし、時に熱い展開もあり、自己犠牲の尊さが伝わってくるシーンもあった。全体的に自由な作品であり、その制作姿勢は後年の作品にも受け継がれていると思う。下らないようでありながら、意外とメッセージ性の強い作品だったのではなかろうか。 

総評

79点

 

神回と糞回の落差が激しいアニメだった。監督が主役級の声優も兼任してたり、意外な熱さを見せたり、とにかくナベシンだった。ナベシンが活躍した回ほど面白かった印象もある。ある意味、世紀末の日本のアニメを代表する作品だったと思う。

 

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