俗・さよなら絶望先生 3話 感想&考察

今回で、本作品の方向性が決定付けられた。

 

【十七歳ね、自分のシワをつかんで見たくない?】晴美が同人誌の制作に追われいた。その裏では絶望先生のラジオをやっていて、晴美の部屋の雑誌などにもネタが仕込まれていた。黒板ネタや時折一瞬だけ映る大量の文字列など、視聴者の情報処理能力を超える描写は度々あった。しかし、連続して情報量が多い状態が続くのは本シリーズでは初めてだ。晴美の日常回を装いながら、壮大な実験を行う制作姿勢が俺は好きだ。ちなみに、ラジオでは年忘れを「年齢忘れ」と読み替えたネタが披露された。30歳にもなって親にお使いを頼むニートとか、三十路前で結婚をせっつかれる独身女性とか、視聴者の心にダメージを与えるネタが多かった。この話から、お笑いでいう客いじりが目立つようになった。

 

【義務と兵隊】自分からやり始めたのに、いつの間にか義務と化してしまった行為がネタになっている。その行為を可符香は「責任感が強い」と評したが、あびるは「自意識過剰」と評した。両者の性格の違いが浮き彫りになったネタでもある。ハンカチ王子とか、変なメニュー考えるクレープ屋とか、眞鍋かおりとか、時事ネタが多い。「義務感感じさせてるのは先生」と指摘を受けた絶望先生は、霧が料理を作ってくれていることにやっと気づいた。いつの間にか甘やかされてだめんずになってしまった絶望先生。「深夜アニメの視聴はニートの義務」とか、またまたニートの心をえぐるネタが登場。視聴者のメインをニートと考えてのネタだろう。こういったネタが人気の隠し味になっているのは確かだろう。

 

【『さらっと言うな!』とメロスはいきり立って反駁した】重要なことをさらっと言う風潮を風刺している。いきなり「君たちは二年生の留年が決まりました」は、物語を続けさせる都合があるにせよ余りにもご都合主義である。終わらない日常か。「鈴木商店高校に改名しました。」「前の高校名は言ってない。」と言いつつ、「しがらみ高校」という正門の表示は前作であった。言ってはいないのは確かだが。高校名が蔑ろにされているのは、所詮フィクションですよという忠告なのだろうか。どうでもいいことをさも重大に言いましょう、と話は展開していく。千里が「ジュースを注射した」と言って絶望先生に「それは重大なことです。」と返された。千里がもっと重大なことを言いかけたから、千里に取ってジュースの注射はどうでもいいと判明。きっちりしているはずが、こんなに感覚が狂っていたとは驚きである。千里の猟奇性はこの話から描かれ始めた。各キャラの闇に迫って、より深い内容にする意図があるのだろう。

 

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