さよなら絶望先生 レビュー 「極めて知的な作品」

 ※ネタバレ注意

 

新房昭之監督はじめスタッフ一同全力で楽しみながらこの作品を作ったのだろう。作風はふざけているが、作品に込められた真意はいたって真っ直ぐであり、真摯である。

 目次

 

レビュー&採点

 

・作画(キャラデザインも含む) 15点

・音楽(BGM、op、ed、挿入歌、se) 25点

・ストーリー(話数の配分等の構成、話の面白さ、脚本、展開) 30点

・人物(登場人物にどれくらい魅力があるか) 20点

・独自性(世界観や提示される概念など、何らかのオリジナリティがあるか) 30点

・メッセージ性(制作陣は作品を通して何を伝えたかったのか) 20点

 

作画

11点/15点

全体的に、大正ロマンを感じさせる画風である。いわゆる美麗な作画とは違うが、無機質でありながらどこか懐かしさを感じさせる独特な作画。

 

音楽

18点/25点

大槻ケンヂの楽曲が、意外なことに大正ロマン全開のこの作品と相性抜群だったとは。

 

ストーリー

25点/30点

1話の前半と後半で違うネタをやるという構成。中には理解に苦しむネタもあったが、概ね面白かった。登場人物皆で一つの劇を作り上げているような感覚がある。ラストに暴走チンチン電車で絶望先生を轢いた話もあり、視聴者の予想を超える展開に驚くこともしばしば。作品の序盤はもちろん、最終回の前半後半ともに新しいキャラを紹介しているあたり、続編前提の作りとしても自由な構成である。

 

人物

18点/20点

個性豊かな美少女が次々と登場する上、命名が実に凝っている。白眉は常月まといで、命名の真意が分かると「そうだったのか」と原作者の才能に震撼するくらいだ。

 

独自性

30点/30点

ぱにぽにと監督が同じであるため、随所に似ている点が見受けられる。しかし、校舎の時計がマエダックスなるハゲたおじさんに占拠されてたり、カメラワークで絶望先生の視野の狭さを表現するなど、同作品とは違う方向で実験的な作品になっていた。オープニングに監督らしき顔写真が登場、中盤なのに予告編、独自のCM、CパートでFFの戦闘シーンと実に自由な作風でもある。こんなに監督はじめスタッフが遊び呆けている作品も珍しい。(褒め言葉です。)

 

メッセージ性

20点/20点

いわゆる不条理ギャグやシュールギャグが連発された。一方で、そこに込められたメッセージや裏テーマは現代批判であったり哲学的思索であったり常識の反転だったり、原作者の高度な知性が反映されていたように思う。絶望先生という究極の反面教師を用いて、常識を解体し新しい常識を創造するストーリー自体が強烈なメッセージになっている。

 

総評

87点

ただのナンセンスギャグアニメだと思っていたら、想像以上に考えさせられるメッセージに溢れたアニメだった。新房昭之監督作品として、ぱにぽによりは大衆受けを狙って作られた印象があるがこれはこれで良い作品だと思う。可符香の声優に野中藍を起用したあたり、新房監督は視聴者心理を十分に理解して制作している模様。

 

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