俺の妹がこんなに可愛いわけがない レビュー 「オタクを救済」
※ネタバレ注意
注:本来ならtrue routeも合わせて一期なのだが、放映期間が空きすぎているためそれぞれ別個の作品として扱う。
目次
レビュー&採点
・作画(キャラデザインも含む) 15点
・音楽(BGM、op、ed、挿入歌、se) 25点
・ストーリー(話数の配分等の構成、話の面白さ、脚本、展開) 30点
・人物(登場人物にどれくらい魅力があるか) 20点
・独自性(世界観や提示される概念など、何らかのオリジナリティがあるか) 30点
・メッセージ性(制作陣は作品を通して何を伝えたかったのか) 20点
作画
9点/15点
まあ普通レベルか。AIC系列にしては作画に本気が感じられず、寂しい限りだ。
音楽
15点/25点
OP曲は非常に良い。本編のBGMは印象に薄い。音楽があの神前暁だというのに。化物語の二番煎じのような曲もあり、化物語の後ゆえに先生は抜け殻になっていたのだろうか。
ストーリー
16点/30点
ツンデレ桐乃が次第に兄の京介への好意に気付いていくのが基本的な流れである。京介は授業中に妹というワードに過剰反応するあたり、潜在的には妹である桐乃を好きなはずだが桐乃への好意に気付いていない。本当にツンデレなのは京介と言えるのが面白いところ。
また、高坂父やあやせといったオタクに偏見を持つ世間の代弁者達を京介の熱い説得で改心させていく展開も面白い。
桐乃が京介への好意に気付いていく流れとオタクに偏見を持つ者たちが改心していく流れに沿って物語は進行するが、各話のストーリーに意外性が見受けられず退屈である。
だからあんなにつまらなかったわけだ。
最終回は、あれだけ準備してきたアメリカ行きを突然キャンセルするという唐突な展開だった。桐乃の心情を考えれば理解はできるのだが、あまりにも非現実的すぎて冷めてしまった。
8話は桐乃の書いたラノベがアニメ化するという唐突な展開だった。おそらく、原作をかなり省略しているのだろう。
人物
12点/20点
桐乃の度を超えたツンデレっぷり、最終回であれほど準備してきたはずのアメリカ行きをあっさりキャンセルするあたり非現実的である。沙織、黒猫、特にマナミの祖父は大変面白い人物なのでもっと掘り下げて欲しかった。
独自性
20点/30点
2010年の作品であり、いわゆるオタクが世間に認められつつある年代である。にもかかわらず、 世間の代弁者と思われる高坂父やあやせのオタクバッシングが極めて苛烈なのはどうなんだ。確かに新鮮ではあるが。この作品をきっかけにオタクの願望を叶えるだけの内容の薄い作品がはびこるようになった印象があり、悪い意味でエポックメイキングである。
メッセージ性
14点/20点
ツンデレ妹万歳。以上。
総評
61点
ネットで良く見かけるタイトルであり試しに見てみたのだが、つまらなかった。ただ、スタッフの意図をあれこれ考察するのは面白かった。
本作品に込められた意図
典型的なオタク、厨二病、そしてエロゲオタ、様々なオタクたちを美少女に置き換えたことで絵面を綺麗にし、オタクの救済も意図されている。世間の代弁者達のオタクバッシングに、主に京介が熱く反論し彼らが次第に態度を和らげていく展開もオタク救済を意図している。
黒猫の作品内で、京介のパンツを桐乃が嗅ぐシーンがあった。京介と桐乃はムキになるが、黒猫が「あくまでもフィクションだから、ムキになるのはおかしい」と反論した。フィクションの展開に腹をたてるオタクを揶揄する意図が込められた場面である。
オタク救済を中心にしながら、間接的にオタクを揶揄する場面もあり、オタクに対するツンとデレを組み合わせてオタクを夢中にさせようとする意図が見える作品だった。
だからあんなにオタクが夢中になるわけだ。