ギルティクラウン レビュー 「監督公認の失敗作」

※ネタバレ注意

 

なんだかんだ面白かったとは思うが、見終わった後の時間無駄にした感はすごかった。

 

目次

レビュー&採点

 

・作画(キャラデザインも含む) 15点

・音楽(BGM、op、ed、挿入歌、se) 25点

・ストーリー(話数の配分等の構成、話の面白さ、脚本、展開) 30点

・人物(登場人物にどれくらい魅力があるか) 20点

・独自性(世界観や提示される概念など、何らかのオリジナリティがあるか) 30点

・メッセージ性(制作陣は作品を通して何を伝えたかったのか) 20点

 

作画

15点/15点

2018年秋クールの作品として見ても、12を争うほど質が高い。

 

音楽

24点/25点

名曲揃い。澤野弘之はいい仕事をした。盛り上がるシーンで洋楽を流すアイデアは本作品が発祥と思われ、進撃の巨人にも継承されている。

 

ストーリー

15点/30点

 

7話までは、何かトラブルがあると集の能力で解決するというワンパターンな展開ばかりで今ひとつ。

 

9話は、集が自分を裏切った八尋の弟を一度は助けながら「兄を好きなままで死にたい、美しい思い出だけ残して死にたい」と言われて殺すシーンが劇的でテコ入れの成果を感じさせた。

 

11話で集が部活のメンバーの力を借りていのりを助けに向かうシーンなど最終決戦は見所があった。涯と集の姉が消滅する劇的な幕切れとなった12話は最終回として相応しい出来だった。しかし、姉の魂を失って入れ物のみとなったいのりと集が残されるという結末は、後編に向けて何とも盛り上がりに欠ける。いっそ12話で終わっていれば良かっただろう。ただ、GHQが残っている以上後編への突入はマストである。

 

突っ込みどころが多く、ワンパターンな結末も多かったが、上記のような見所も多く前半は結構面白かった。反GHQ主義者が集まる船上パーティーに参加する集の母など、今後の伏線も貼られていた。

 

13話からは閉鎖された学園編に移る。13話は、ガイの死に責任を感じてきた綾瀬が、涯からもらった足つまりボイドを使って敵に立ち向かい、集と協力して撃退し自信を取り戻すという感動的な話だった。だが、生徒会長を陥れ利用価値があると見るや集に取り入ろうとする二人組やボイドランク制が登場したあたりでGHQ打倒という前半までの目的が霞んでしまい、話が異様に後味悪くなりこの作品の持ち味である爽快さが消えてしまった。

 

17話のラスト以降は、王の資格を巡る闘争編。

19話の突っ込みどころが多い。集の母が易々と葬儀社のメンツと合流していたのは、7話の伏線があるとはいえ違和感があった。大雲が、ワクチンを求める人々にGHQが紛れているのを疑わなかったのは余りにも不用心すぎる。

 

20話は、いきなり黒ポニーテールが葬儀社の面々を仕切り始めていて唐突すぎ。集たちは船上にいたが、それまでの経緯が省略されていて説明不足にもほどがある。

茎道が嫉妬ゆえに玄周を殺害、玄周とシンクロしていた真名は玄周の死を知り、すでに全人類にばらまかれていたアポカリプスウイルスの粒子をその甚大なるストレスで増幅させ、ロストクリスマスを招いたと説明された。理解はできる。だが、後編の迷走を考えるとお粗末な経緯だったという印象が浮かぶ。

 

22話は、唐突すぎて意味不明だった。集が姉である真名を二度も拒絶、いのりへの愛を選んだのはモヤモヤが残る。集が皆のボイドの力で奇跡を起こし、人々のキャンサーを一手に引き受け真の王となり、さらに涯を倒すという最終回らしい無理やりな展開には唖然とした。

 

エピローグでは、人々のキャンサーを引き受けた結果として視力と片手を失った集が描かれたが、死して伝説となった方が盛り上がったように思える。

 

前編のテーマだった打倒GHQは、後編ではボイドランク制やら涯の復活やら全ての原因が茎道と明かされるやらで曖昧になってしまった。結果として、後編の話は意味不明になり、盛り上がりに欠ける出来になってしまった。

人物

10点/20点

俺は阪口大助演じるキャラは大体好きなのだが、魂館はその例外である。いくら手柄を立てたいからって、祭が死ぬきっかけを作ったのはアカンでしょ。

 

唯一面白いと思えた人物は、7話で登場したダンである。「上に打てるなら横にも打てる」、弾が消えると「気合いだー、全部撃てー」。まるで典型的な体育会系バカだった。GHQの将校でありながら、悪い意味で旧世代の日本を象徴しているのが実に面白い。

独自性

20点/30点

相手の胸から武器を取り出すアイデアは少女革命ウテナ、7話までの集やいのりの能力で万事解決は水戸黄門以降のありふれたパターン、後編以降の迷走は…。盛り上がるシーンで洋楽を流した点や、他とは一線を画す作画のクオリティ以外は凡百の作品と同じ。

メッセージ性

16点/20点

荒木監督自身が失敗作と認めただけあって、「余計な要素を入れすぎると、話が意味不明になりつまらなくなってしまう」という教訓はもはや常識となった。

 

総評

71点

なんだかんだ面白かったとは思うが、見終わった後の時間無駄にした感はすごかった。

 

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