新世界より レビュー 「人間の本質に対する深い洞察」

※ネタバレ注意

人間の本質への洞察が凄まじい。

 

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目次

 

レビュー&採点

 

・作画(キャラデザインも含む) 15点

・音楽(BGM、op、ed、挿入歌、se) 25点

・ストーリー(話数の配分等の構成、話の面白さ、脚本、展開) 30点

・人物(登場人物にどれくらい魅力があるか) 20点

・独自性(世界観や提示される概念など、何らかのオリジナリティがあるか) 30点

・メッセージ性(制作陣は作品を通して何を伝えたかったのか) 20点

 

作画

14点/15点

全体的に画面が暗め。今後への明るい展望もなく、意味も分からず人間が消えていくディストピア社会が、不気味な絵で遺憾なく表現されていた。

音楽

22点/25点

不思議な世界観を表現したり、底知れぬ恐怖を煽る曲が揃っている。

ストーリー

21点/30点

 

前半と終盤は非常に面白かった。中盤、特に13話から19話まではテンポが悪く、分かり難かったため評価を下げている。

 

2話までは、ある意味刑務所のような学校で主人公早季の同級生が一人また一人と消えていくジワジワホラー展開に、人類の過去が小刻みに挿入された構成が実に考察厨好みだった。社会不適合者と判断された者は早々にこの世から消されていくんだなと分かった時は底冷えがした。

 

3話から7話までは、世界観や今の社会システムになるまでの経緯の解説が行われた。問題を起こしそうな人物は学校段階で消される、人類同士の殺し合いを防ぐため「きしきこう」が人間に組み込まれている、など平和な社会を維持するための極めて息苦しいシステムは非常に興味深かった。少年少女が故郷に帰るべく大冒険を繰り広げるメインストーリーは、バケネズミの力を借りたり、掟を破ったり、掟を破ったことをバケネズミに黙ってもらったり、ハラハラ要素が多くとても面白かった。

 

8話から11話までは、瞬が突然いなくなり、あげく業魔になってしまった話が展開された。瞬の村の住人も皆消えていたり、先生が意味深な発言をするなど得体の知れぬ恐怖をいざなう演出が実に秀逸。

 

 12話は瞬に関する謎及び序盤で生徒が消された真の理由が解説された。前者はよく考えられていると思ったが、後者は自明であり拍子抜け。

 

13話から徐々につまらなさが感じられるようになった。分かり難い上に、話がなかなか進まずテンポが悪いからか。

 

20話あたりから、バケネズミと人間の全面戦争が本格的に始まったので多少面白くなった。

 

22話以降、序盤には及ばずながら面白くなる。メインストーリーが、野狐丸(やこまる)がサキたちを全滅させるか、サキたちが最終兵器を見つけるかの争いとなり分かりやすくかつスリルあふれるものになっていたからだろう。奇狼丸が内通者ではと疑わせる演出も緊迫感を高めていた。

 

25話はまさに集大成だった。これまで野狐丸側を徹底して悪として描いてきたが、実は非常に巧みな印象操作だったと判明した時は鳥肌が立った。

人物

15点/20点

早季や悟には今ひとつ共感できなかった。瞬は一線を画した考えに基づいて行動している印象があり、魅力的だった。野狐丸があんなに熱く真っ直ぐでまっとうな信念を持って戦っていたとはね、もっと早く彼の真意に思いをいたすことが出来ていればな。

独自性

28点/30点

人間同士の殺し合いを防ぐための「きしきこう」を始め、世界観は非常に独特である。ただ、どこか「シャングリ・ラ」など他作品を彷彿とさせる印象がある。

 

前半は仄めかされた恐怖、ラストでは人間という存在が内包する本質的恐怖という全く異なる恐怖がここまで描かれている作品は珍しいと思われる。

 

人間の恐ろしさをここまで思い知らせる作品は初めてだ。

 

メッセージ性

20点/20点

植民地時代における支配者つまり白人=人間

植民地時代における被支配者つまり黒人=バケネズミ

 

は確かだろう。

 

人類の歴史は「同じ人類を恣意的な基準で二分化及び階層化し、支配者が被支配者を虐げ搾取してきた歴史」だと痛感させられた。

総評

86点

中盤テンポ悪かったが、人類の歴史と本質を突きつけられる傑作である。

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