はねバド！　レビュー　「独自の王道」 - アラサー社会不適合者が淡々とアニメレビューする

※ネタバレ注意

最近のアニメでは、一番面白かった。

レビュー&採点
作画
音楽
ストーリー
人物
独自性
メッセージ性
総評
はねバド！が見れるサービスまとめ

レビュー&採点

・作画（キャラデザインも含む）　１５点

・音楽（BGM、op、ed、挿入歌、se）　２５点

・ストーリー（話数の配分等の構成、話の面白さ、脚本、展開）　３０点

・人物（登場人物にどれくらい魅力があるか）　２０点

・独自性（世界観や提示される概念など、何らかのオリジナリティがあるか）　３０点

・メッセージ性（制作陣は作品を通して何を伝えたかったのか）　２０点

作画

１５点／１５点

試合中の腿の筋肉の動きまできっちり描いている。バドミントンの躍動感がひしひしと伝わってくるのは、膨大な作画枚数ゆえ。最終回では揺れる文字が多用されていたが、渚と綾乃の内心を表現した上で作画担当の負担軽減にもなっていて巧みである。同じく最終回では、黒と白の線のみというラフな絵で渚と綾乃の限界を超えた死闘を描き切ってもいる。

音楽

２３点／２５点

試合中に流れるクラシックのような曲が、試合の緊迫感をうまく演出していた。BGMは良い曲が揃っているが、今ひとつオリジナリティに欠ける印象。

ストーリー

２１点／３０点

なんだかんだで面白いのは確か。

全１３話だが、それぞれの回で主人公が異なるオムニバス形式の構成となっている。母有千夏に執着し続ける綾乃が、執着を断ち切り精神的独立を得る過程がメインストーリーとなっている。

「仲間」となったライバル側が勝ったり、負けてもバドミントンの楽しさを知ったり、ヒールとして描かれた者同士が試合をしたり、この作品は新たな王道を創造しようとしてはいた。３話や理子回や葉山回ではバドミントンの楽しさが描かれてもいた。しかし、綾乃があまりにも怖すぎてことごとく霞んでしまった。スポーツアニメでサイコな主人公は斬新だったが、マーケティングとしては大失敗だ。バドミントンとしての楽しさは描いていたが、結局綾乃のせいで霞んでしまった。初期のテニスの王子様のような展開にすれば円盤の売り上げも上がっただろうし、バドミントン部の入部希望者も増えただろう。立花コーチや筋肉メガネおじさんなど、バドミントンの楽しさを伝えつつ作品として面白くなる要素があっただけに惜しい。

余談：４話でクリステンセンと遭遇させるため、綾乃を炎天下の最中５キロ先まで買い出しに行かせるというご都合脚本が炸裂した。北小町バド部で一番期待されているはずの選手なのに、不必要に熱中症のリスクを負わせてしまった。結局荷物はソラが持って帰ったし、何のため綾乃は買い出しに出かけたのだろうか。

人物

１８点／２０点

とにかく綾乃である。全く空気読んでない綾乃のセリフや行動の数々には戦慄した。

各回で人物同士の因縁や心情は描けていたと思う。が、嫉妬や羨望、才能の差といったワンパターンの関係性が多く今ひとつ。

独自性

３０点／３０点

バドミントンという題材自体新鮮だし、王道スポーツ漫画でも独自性は出せていた。しかしこの作品は、主人公が狂っていたり、「仲間」となったライバル側が勝ったり、負けてもバドミントンの楽しさを知ったり、ヒールとして描かれた者同士が試合をしたり、新たな王道を創造し独自路線を走り続けた。マーケティングとしては大失敗だが。